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重修本草綱目啓蒙
九芳草
豆蔲 一名家孽〈典籍便覧〉 竇蔲〈北戸録、音お借りたるなり、〉 豆休〈同上〉 豆叩〈赤水玄珠〉 草豆仁〈医学正伝〉 草果一名百子堂〈輟耕録〉
豆〓は草豆〓の略なり、草菓草豆〓各別なり、集解に時珍形状お別つは可なり、混じて一条となし、目録にも豆〓即草菓と雲者は非なり、本草蒙筌、本草彙言、本経逢原、本草原始、万病回春、薬性歌皆二種に別つ、共に和産なし、草豆〓多くは皮お去り仁ばかり渡す、希に皮あるもあり、縮砂の気味に似て香薄し、草菓は形長大にして皮に線稜あり、仁も亦草豆〓より大にして臭気あり、増、草豆〓能く脾気お行らし、滞気お散じ、嘔吐お治し、食お消し、脾お健にし、痛お治す、凡そ湿鬱病おなす者、これお用て神効あり、草菓は疫癘瘴瘧お治するに効あり、然るに時珍その草菓に豆〓の異名あるお以て、混同して一条とす、遂に後人草豆蔲お廃して、惟草菓お以て、二物お通用するに至る、宜くこれお弁別すべし、