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道三切紙
当流薬剤調進之法則
一小紙ならべ配するに、我前膝の際より向へ次第に並るなり、万物下より生ずる也、易効も下より画之、 我左より右へならべ重也、起精〈○起精恐起請仮借〉つぎにならぬ様にと雲心也、 仮令七包之時は、前に四つ、向に三つ也、天軽地重象之、
一小包つヽむ時、打合して、我衣裳の打合の如につヽむ也、左り前にならぬやうにと也
一煎薬之銘は、必裹紙の内書之、三字五字可然也、
一大裹之時、紙二枚なれば、内の面に銘お書也、紙一枚なれば、左の端お折返て銘書べし、
一七包の時は、我前の方に四包、向に三包並るなり、左りの方よりならべ始候、十五包は、五包づヽ三とおり並る也、以上准之、
一銘おば、煎じ様のとおりより一寸五分ばかりさげて書べし、包数も、銘のはてより、一寸五分ばかり間お隔て注之、
一煎様は
一つヽみに、水天目一つながら入、一つに煎じわけて、二ふくに、かすに一つ入ながらにせんじ、
一ふくに、
一七歳より内の小児へは、剤包もこふくに合る也、
一包に、水天目一つ入、七分にせんじわけて、二三ぶくに、かすにも一つ入、三分にせんじ、一二ふくに、
一貴人へ合薬剤調進仕には
一つヽみに、水天目一盃半入、一盃にせんじわけて、二度に御進上、かすせんじの儀不可注之、
一至貴人へ剤薬奉進上には
一つヽみに、水御天目に一盃半入、一盃にせんじ、御試おなされわけて、二度に御進上、
一生姜、棗、竹葉、生橘葉、忍冬葉など入候はヾ、其理可注之、入ざるには、其沙汰なし、
一大裹のうらの封じは、封の字お書事通法にて候、難産催生の薬胞衣遅滞の合薬などには、験の字お可書、大便久秘結し、或小便不通の療薬にも、験の字猶可然候、
一合薬持て出、或病者使者に相渡時の仕合、銘お我前へ順になし、左手に持て、口上お宣て、右手へ逆に取直渡之、とりなおす雲名詮也、
一丹薬、丸粒、或通治の散薬などは、銘お裹紙の上に書也、
其病者々々の療治に調進する散薬などは、裏紙の内に注之、
一阻遠路調達する合薬は、大裹上お復つヽみて、封の上書おすべし、