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浚明院殿御実紀附録

すべて御側ちかく給事する人々、病にて家にこもりたる時は、いく度も侍医おつかはされ、病おとはせ玉ふ、御次の間に候する小納戸、もし、せき、くさめなどすれば、かならず体中和せる所ありや、気分よろしからずやなど委しく御尋あり、いさヽかも常ならぬこヽちなりなど申上れば、御薬など賜はりしかば、あまりに御心にかけ玉ふことの恐れおほければとて、後々は相たがひにかたりあはせて、せきくさめもなるべきほどは、声お低し、聞えざるやうにせしといへり、