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時還読我書

越後新潟の辺に一種の病あり、土人海に近き河畔にて草茅お刈とき、身中忽に虫に螫るヽことあり、其虫至て細く毛髪の如し、螫るヽ時は寒熱お発し、恰も傷寒の如し、土俗れお呼て つヽが( ○○○) と雲ふ、前年は不治に就もの多かりしが、近来は治方お覚えて死お免るヽ者多し、其薬は套剤中へ蛇蛻お加へ用ることなりと、菊池退蔵の話なり、軒村世緝雲ふ、此沙虱の類ならん、其螫処お潟血して愈と聞くとぞ、又弟子速水草玄雲ふ、近頃は白砂糖お嚼て伝け、又内服せしめて必験ありと、