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太平記

大塔宮熊野落事
宮、〈○護良〉病者の伏たる所へ、御入在て御加持あり、千手陀羅尼お二三反、高らかに被遊て、御念珠お押揉せ給ければ、病者自口走て、様々の事お雲ける、誠に明王の縛に被掛たる体にて、足手お縮て戦き、五体に汗お流して、物怪則立去ぬれば、病者忽に平癒す、