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時慶卿記
慶長十年五月十一日、時直は親王〈○政仁〉御方へ被召て参、今度御煩中、御伽衆御振廻在之而、艮子一枚づヽ給由也、女御殿の御里にての儀也、予は後に女御殿見廻申候、竜山も御出京にて、懸御目、藤咲出御詠あり、予にも可申由候間申入、竜山、軒近き花橘の香おそへて五月にかヽる庭の藤なみ、とありしに、夏かけて軒ばの松に咲そふはむべなりけりな北の藤なみ、と申候、