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今物語
念仏者の中に、つちゆいふけつと雲僧有けり、或所に板ぶろと雲物おして、人々入けるに、此僧 目おやむ( ○○○○) よしいひければ、目おひさぎて入はくるしかるまじきよしお、人々いひければ、さらばとて目おゆひて、板ぶろのありさまもしらぬものヽ、目は見えざりければ、風呂の前にわき戸のうちのありけるに、ふろと心えて、はだかにてかヽへたる所もうちとけていにけり、