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瘍科秘録

喉痺
喉痺は咽喉の癰にて、又喉癰と雲ふ、痺は麻痺するの義に非ず、中蔵経に痺者閉也とありて、咽喉閉塞するの謂なり、焦氏筆乗に、已に喉閉と見へたり、又 乳鵝風( ○○○) とも名く、両傍の腫るヽお双乳鵝風と為し、一辺の腫るヽお単乳鵝風と雲、和蘭陀の説に、懸壅の左右に 巴旦杏腺( あまんてれんきりいる) と雲ふもの有り、喉痺は此の処の腫るヽなりと謂へり、咽喉は飲食の道、呼吸の門にて、至極の要地なり、故に早く救はざれば危篤に至ることあり、此病は 刺縫( ぬいもの) 、 臨模( かきもの) 、 剖劂( ほりもの) 等にて、極めて肩お使ひ、強て腕お労するものに多し、