[p.1180]
諢話浮世風呂
前編上
朝湯の光景
おい番頭、目お廻した人があるぜえ、湯気に上つた〳〵、〈ばんとう〉なに湯気に上つた、夫は大変大変〈と、ゆばん大ぜいにて、ふろの中よりかつぎいだせば、いぜんのよい〳〵病人、ゆ気にあがつてたはひなし、〉誰だ〳〵、よい〳〵のぶた七だ、病人のくせに長湯おするからだ、水お吹かけろ、草履お顔へ載ろえ、なにそりや〈あ〉顛癇だ〈あ〉、刀豆と肩へ書が能い、それこそ 早打肩( ○○○) だ〈あ〉、ぶた七〈やあ引、〉ぶた七や、あヽいどどどんちやん〳〵、じやうだんじや〈あ〉ねへ、呼生ろ〳〵〈と、かほへ水おふいて、大さはぎになる、やう〳〵にぶた七はいきおかへす、〉どうだ、ぶた七〳〵気がついたか気がついたか、