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内科秘録

脾疼( ○○)
脾痛は古へ心痛に混淆し、胃心痛或は胃脘痛と雲て明辮無し、聖恵方に初て脾疼と称す、香川太仲、此証お 留飲( ○○) と唱てより、医俗共に雷同して売薬の招牌にも留飲と題して、今は通名になれり、素問に食痺と雲ひ、本事方に癖嚢と雲ふも皆此病のことなり、然れども脾疼と雲ふお正名と為す、古人の所謂脾胃は胃の一臓お指斥して未だ必しも二臓に拘泥せず、脾疼は即胃疼なり、