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病名彙解

心痛( しんつう) むねのいたむことなり、或は脾疼とも、又胃脘痛とも雲り、正伝に雲、夫胃は脾の府たり、陽は陰に先だつ、故に臓いまだ病ずして府先病なり、甚しふして脇下に至り、刀〓の痛の如きもの、已に連て臓に及ぶなり、古方に脾疼となすもの是なり、胃の上口お名て墳門と雲、心と相連る故に、経に所謂胃脘心に当て痛むと、今の俗呼て心痛とするものは、いまだ此義に達せざるのみ、纂要に雲、真心痛は其痛甚し、手足青して節に至り、旦に発して夕に死す、医書大全に雲、其種九あり、一に曰虫痛、二に曰注痛、三に曰風痛、四に曰悸痛、五に曰食痛、六に曰飲痛、七に曰寒痛、八に曰熱痛、九に曰来去痛、名同からずといへども、其実は皆外邪気に感じ、内生冷に傷るヽに由て、痰飲お結聚して、心胞に停て経絡お傷る、重きときは心隔引痛み、軽きときは 怔忡( むなさわぎ) するのみ、