[p.1190][p.1191]
叢桂亭医事小言

積聚 奔豚 伏梁 虫積
五積六聚と雲より、病目種々の字お冠せしめて通用す、疝積、気積、食積、血積、肝積の如きは、医俗となく唱るお見るに、酒お飲て後腹痛すれば酒積と雲の類にて、一向に心得ありて雲に非ず、痰お吐ず、咳嗽する人、胸下などお痛むは痰積と雲、又腰腹股脚の痛お疝積と雲へども、是にも痰嗽などすれば、やはり痰積と雲、何わけもなく何積と雲へば、病者も合点して、治療お任す、積の字おば病の字の如くに見なし、上の字お要に取扱ふ、可笑の甚きなれども、此病に限らざれば、今責むるに不足、積は物のつもりたるお雲なれば、自然と出来るお雲、即音も姿になりてよけれども、せきに取さばく、又形のある積の名なり、聚は気の聚りたるにて、形のあるに非ず、