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増鏡
六烟の末々
明くる年は建長五年なり、正月十三日、御門〈○後深草〉かうぶりし給ふ、御年十一、御諱久仁と申す、いとあてにおはしませど、あまりさヽやかにて、又 御腰などのあやしく渡らせ給ふ( ○○○○○○○○○○○○○○) ぞ、口おしかりける、いはけなかりし御程は、なおいとあさましうおはしましけるお、閑院の内裏焼けけるまぎれより、うるはしくたヽせ給ひたりければ、内の焼けたるあさましさは何ならず、この御腰のなおりたるよろこびおのみぞ、上下おぼしける、