[p.1213][p.1214]
落窪物語

日のふるまヽに、たふとさまされば、末ざまには人々も上達部も参りこん中に、五の巻の捧物の日は、よろしき入より始め、消息お聞え給へりければ、所いとせばげなり、捧物の事も充て給ひりれば、袈裟や珠数やうの物は多くもて集りたるに、取りて奉らんとするほどに、右の大臣の御文大納言殿にあり、見たまへば、今日だにとむらひに物せんと思ひつれども、 脚の気( ○○○) おこりて、装束する事の苦しければなん、これはしるしばかり捧げさせ給へとてなん、とあり、青き瑠璃の壺に黄金の橘入れて、青き袋に入れて五葉の枝につけたり、