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瘍科秘録

白禿瘡
白禿瘡俗に しらくも( ○○○○) と称す、大人も患ふることあれども先小児に多し、頑癬と同毒にて蔓延して面に出て、或は父母に伝染するときは、常の頑癬になるなり、其瘡白屑お起し、瘡痂お結び、痒して虫の皮中お行くが如きお覚へ、 瘡痂( かさふた) の下に膿お持ち、遂に毛髪禿落するものなり、 剃刀( かみそり) お当ること至て宜しからず、髪お剃れば作に蔓延し、髪お剃ずに置けば格別に蔓延せず、浅膚の毒なれども、至極治し難きものなり、