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瘍科秘録

腎嚢風
腎囊風、和名お いんきんたむし( ○○○○○○○) と雲て、是も頑癬の一種なり、至て治し難きものなり、初めは陰囊に発すれども、漸蔓延して陰茎及両股小腹おも侵蝕することあり、団暈お成して微も頑癬に異ならず、酒お飲み或は臥して温まるときは大に痒く、 擦抓( かきむしる) ときは又痛お発し、脂水お流し、遂に疙〓頑麻になるなり、或は春夏のみ発して、秋冬は愈るものもあれども、先四時ともに愈ざるもの多し、 敷薬( つけぐすり) 洗薬などにて一旦愈れども、日お経れば再発す、温泉に浴すれば其年は愈れども、来年に至れば必ず再発して、終身愈かねるものなり、C 瘃