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北辺随筆

雪堕指
史記勾奴伝雲、会冬大寒風雪、卒之堕指者十二三、於是冒頓佯敗走誘漢兵雲々、こヽにても北越の雪中に日お経たりしものヽ、足くび腐れおちたるお、まのあたりみたりき、されどさる寒地になれたる人は、さる事もなく、かつその防もたくみなるべし、よそよりおもはむがごとくならば、ひと日もそこにはすむものあるまじき也、松前の人、京にのぼりいたりしが、しはすの頃、かの国にて、三四月ばかりの肌もちなりといひし、されどかく暑寒順なる地にすめるおもよろこばぬ事、だヾわれひとりしかるにはあらじか、