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宇治拾遺物語

これもむかし、天ぢくに身の色は五色にて、角のいろは志ろきしか一ありけり、深山にのみすみて人にしられず、〈○中略〉国の大王おほくの狩人おぐして、此の山おとりまきてすでにころさんとし給、〈○中略〉御こしの前にひざまづきて申さく、我毛の色おおそるヽによりて、この山にふかくかくれすめり、志かるに大王いかにしてわが住所おば志り給へるぞやと申に、大王の給、この輿のそばにある顔に あざ( ○○) のある男つげ申たるによりて来れるなり、かせぎみるに、顔にあざありて御輿の傍にいたり、〈○下略〉