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大祓詞後釈

胡久美は、同書〈○和名抄〉に瘜、寄肉也、瘜肉和名阿万之々、一雲古久美、とある是なり、阿万之々は贅肉なり、又其次に挙たる附贅懸中なども同じ類なり、かくて此類は共に、きたなき物なる故に、穢お以て罪とするなり、〈○中略〉 考に、美字お麗と改めて新羅高麗の人とし、次の己母犯罪〈雲々〉へ係て解きたるは、いみじきひがごとなり、まづ貞観儀式には、故久弥と書れたる、此弥字おも共に麗の誤とはいひがたかるべし、そのうへ太神宮延暦儀式帳には、生秦断、死膚断、己母犯罪、己子犯罪、畜犯罪、白人古久弥、川入火焼罪乎、国都罪止定氐と、己母犯〈雲々〉は別に上にあるお、かの説の如くにては、いかに解べきぞ、己母犯罪〈雲々〉は、白人胡久美に関らざること明らけきおや、