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頓医抄
四十五
玉茎疫病治方
黄蘗お濃煎、塩少入て 洩( たヽへ) て後、蘗粉一両、唐墨の粉二分、白粉焼たる瓫の中に居たる灰三分、是等およく〳〵かき合て、
又方 五倍子お細末してひねりかけよ、最上の薬也、
又方 樒の一葉おこく煎、大なる竹の筒に入て、玉茎お指入て、洩て蒸洗へ、醒ば煎物おかへ〳〵に洩よ、筒の底に梅干三入よ、口伝也、三日五日七日に平愈するまで治せよ、
又方 辛夷お煎、塩少入て洩て後、古き梅干の塩からきお上の皮の実核とお去て、実のかぎりお取集て塩少入て、唐墨の粉少入て、唾お吐入、能々ねやし合て付よ、最上の秘薬也、〈○中略〉
玉門疫病治方
開疫病と雲は、先玉門に、水瘡の様に瘡出て、かゆく発動して、抓は腫塞てたヾれ痛、蘗と車前草お濃煎、薄塩お入て、吉程に醒て、ゆで洗て後、子ば土にて〓の形お三四作て水ぬらして後、上に紙お一重ふせて、日に干て堅くなりたるお、又紙おぬらして彼〓形に数多巻て、熱灰の中に埋て、あたたかに焼たる時、玉門の中え取替々々可蒸、日々におこたることなかれ、無双の治方也、〈○下略〉