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松屋筆記
九十三
よこねといふ瘡
病毒の、股の付根の所へ腫出たるお、横根といへり、常山紀談二巻、滝川一益、佐々成政等、信孝お推崇て、秀吉と弓箭お取し事おいへる条注に、篠原助六とて、利家の近習の士、廿三に成しが、よこねお煩ひ、起臥も心に任せずと見ゆ、天明の比、或人、近江の笠松峠にてよめる狂歌に、
はれ出てそらにけぎれの雲もなく山のよこねにうみぞ見えける