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俗説正誤夜光珠

気淋お消渇といふ説
淋病のかろきお、俗に消渇気といふは謬りなり、小便しげく行けども、澀り滞りて少く、常に余瀝ありて尽さぬは、気淋とて、五淋のうちの一つなり、さて又消渇といふは、津液の不足より発る病にて、上中下の三消あり、上消は咽渇きて多く飲み、舌そこねて食少く、二便つねのごとし、中消は口乾きて多く飲み、よく食して痩せ、小便赤くして数し、下消は 煩( いき) れ渇きて、多く飲み、耳焦れ、小便濁りて膏のごとし、これ大概おしるす、諸家の病論に詳なり、見るべし、