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叢桂亭医事小言

痔 下血
痔は肛門の病にて、素門に出、後世名称甚多、酒客に多故、酒痔の名あり、肛肉脱出するお脱肛と雲、寒気の節に多し、硬き大便お下す時に、飜出ること癖になりて、肛内の肉ゆるみて、ほつれて、飜花瘡の如に出づ、出れば軟肉故、痛も有れども、出るほどのことなれば、腫も催て痛むなり、甚しきは坐することならず、側臥して百薬無効、日月お経て自然に汁お流し、腫消して愈お待に至るも有、又軽きは手入して納る、又常に大便の毎に脱して、其度に押入る人も有、