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東都古墳志

秋山自雲霊神縁起
秋山自雲霊神は、摂津国川辺郡小浜の産にして、多田備中朝臣随一の郎従、藤原仲光の末裔狭間氏、其父六左衛門なり、其子は吉兵衛、江戸新川岡田孫右衛門に奉公して、生質直にして、後に家お継て岡田孫右衛門といふ、三十八の比より 痔疾( ○○) おやむ、医療尽て死に臨むで曰、七年難病に苦しむ故に、諸仏神に誓て、没後此病お憂ふるものお救ふべしといつて、延享元甲子九月二十一日死す、当寺に葬る、其後某痔疾に苦しむ事三年、自雲の言葉お思ひいだして、信願二月お過ずして平愈す、是より世上に流布す、〈○中略〉
但十四年患へて、三年必死の病苦おなす、寺僧の話に、摂州多田庄大鹿村の産、
今 痔仏( ○○) といへる、寺中に別に霊神お安置して、余程の宮居ともいふべきやうすなり、されども人々霊神とはいはず、痔仏々々と称す参詣多し、