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牛山活套

時疫 瘟疫 大頭瘟瘟瘟 蝦蟇瘟 百合病
時疫瘟疫の病は、疫癘の類にして、一般に流行する熱病なり、多は温熱の邪に中り、或は山嵐の瘴気に感ずる也〈○中略〉
大頭瘟( ○○○) の症は、頭腫て如斗、或は耳の根腫痛し、頭に瓶などお被たるが如く、上かぶきに成て大熱お発する也、其脈多は浮大にして数なり、荊防敗毒散に、黄芩黄連牛房子お加て用て発し、或は牛房芩連湯お用、共に神効あり、
蝦蟇瘟( かまうん/○○○) の症は、両の腮より耳の根にかけて、頬まで腫て、蝦蟇の状の如なりて大熱発す、今時の和俗これお 江戸挟箱( ○○○○) と雲、治法多は大頭瘟に同じ、荊荊防敗毒散に、牛房子黄連黄芩お加て用、又は牛房芩連湯も宜し、或は老人、或は血虚の人、或は冬月厳寒の時、血澀て熱発し難き類は五積散に、牛房子芩連お加て用べし、神効あり、此症右の薬方の類お十占計用れば多は愈也、〈○中略〉
傷寒百合病( ○○○○○) と雲症あり、多は傷寒瘟疫の後、虚労して臓腑不平、変じて此病となる、其証寒に非ず熱に非ず、飲食せんと欲して食せず、行んと欲して不行、坐せんと欲して不坐、薬お服すれば即吐し、小便赤く、鬼お見るが如くなるお百合病と名く、茈胡百合湯お用べし、其効如神、