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多聞院日記
天文三年二月三日、予歳十七に母お送て、釜口霊山院忌中、三月の初、 疫病煩ひ( ○○○○) 、既に死んとす、師英磐より為祈禱大般若とも転読巻数并赤童子〈蓮成院所持本尊〉下給、前後不覚、入夜うつヽに赤童子仰雲、女に学文望ならば、一切経の御廊におわせよとの玉、さて前後に男女鬼形おヽかりき、赤童子杖お以て打払せつるに、彼鬼ども手お合、わびゆと申き、しかればおのれら、向後此ものに障お不可成とありしに、無是非旨請お申上、悉く帰と、たヾちに見しに、予伯父の坊主教弘阿闍梨も長病煩ひ、気その砌の夢に、まのあたり愚が所より異形のもの多く去と見ると、其後本復了、