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松屋筆記
六十五
痰咳( ○○) の妙薬
痰咳強して、療禱術尽たるに、柊、南天、葉紫蘇葉の陰干お当分に合せ煎じ、湯茶のごとく頻に用れば必験あり、或は天瓜の実お多く煎じつめて、ねり薬のやうになりたるお頻に用るもよし、されど初一年は奇効あり、次の年はさまでにあらず、三年目にはいと効うすし、四年目に至ては更に能なし、へちまの水お煎じつめて用るも、亦右のごとく、自然に効薄くなりて詮なし、唯柊、南天、紫蘇の三種の葉の陰干の煎湯に及ものなし、