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大鏡
六内大臣道隆
今の帝〈○後一条〉東宮さしつヾきむまれさせ給へりしかば、よおおぼしくづおれて、月ごろ御病もつかせ給ひて、完弘七年正月廿九日うせさせ給へにしぞかし、御歳三十七とぞ承りし、かぎりの御病とても、いたうくるしがり給ふ事もなかりけり、 御しはぶき病( ○○○○○○) にやなどぞおぼしけるほどに、おもり給ひければ、修法せんとて僧めせど参もなきに、いかヾはせんとて、道雅の君お使にて、入道殿に申給ひにけり、