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源平盛衰記
二十六
入道〈○平清盛〉得病附平家可亡夢事
二十八日〈○治承五年二月〉に、入道重病お受給たりとて、六波羅京中物騒し、馬車馳違、僧も俗も往還種々の祈禱お被始、家々の医師薬お勧めけれ共、病付給ける日よりして、湯水おだにも喉へも入給はず、 身の中の燃焦ける事は( ○○○○○○○○○○) 、 火に入が如し( ○○○○○○) 、臥給へる二三間へは人近付よる事なし、余にあつく難堪かりければ也、叫び給ひける言とては、隻あた〳〵と許也、此声門外まで響ておびたヾし、直事とも不覚、貴も賤もあはしつるぞやさ見つる事よ〳〵とぞ申ける、今度もし存命あらば、如何に本意なかりなんと雲者も、内々は有けるとかや、
○按ずるに、清盛の病は其何たるお詳にせざれど、姑く此に収む、