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安斎随筆
二十九
疱瘡血症 或小児疱瘡発して吐血す、家人大に驚く、衆医手お束ねて如何ともする事なし、一医酒お飲ましむ、吐血止む、予が孫三人一度に疱瘡発 衄( はなぢ) 出づ、何事もなし、又或小児疱瘡発して吐血す、是も何事もなし、按ずるに、熱に乗じて痘の毒血妄動して上下より溢れ出づるなり、其の本毒血なる故、血いづとも害ある事なし、人の驚き憂ふべき事なる故、是お記す、疑ふ事勿れ、