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栄花物語
二花山
ことし〈○天延二年〉はよの中にもがさといふものいできて、よもやまの人、上下やみのの志るに、おほやけわたくし、いといみじきことヽおもへり、やむごとなき男女うせ給ふ、たぐひおほかりときこゆる中にも、前せつしやうどの〈○伊尹〉の前のせう志やう、〈○挙賢〉後せう志やう〈○義孝〉おなじ日うちつヾきうせ給て、はヽきたのかた、あはれにいみじうおぼしなげくことお、よの中のあはれなることのためしには、いひのヽしりたり、