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古事記伝

伯耆国人の雲く、本国八橋郡束積村に、鷺大明神と雲あり、須佐之男命お祭ると雲、同村に大森大明神と雲あり、大穴持命お祭ると雲り、件両社の神主細谷大和と雲、さてその鷺大明神お、疱瘡の守神なりと雲て、そのわたりの諸人あふぎ尊みて、小児の疱瘡の軽からむことお祈る、まづ初に此願お立るときに、此社に詣て、竹皮の笠お一蓋借て帰て、家内に斎ひ置て、その児疱瘡おことなくしおへぬれば、賽に同じさまの笠お今一蓋添て、初のと共に、かの社に返し納奉る、此笠どもはみな、神の御前に積置お、又後に析かくる者は、一蓋づヽ借て帰るなり、