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時還読我書

文政癸未〈○五年〉霜月の頃より、西国に麻疹流行の風聞ありしに、都下も臘月の末には、芝辺にて患るものあり、甲申〈○六年〉正月初旬より漸々流行して、二月に至ては満城皆これお病み、三月までにて止にけり、大抵は軽症にしあて、薬せずして愈る者、亦少なからず、