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難波江

暴瀉病
病名
先づ霍乱と雲が穏也、尋常の霍乱の、其邪中焦にありて、吐瀉斉く発するのみ異也、尋常なるは腹痛あるに、これは腹痛もせず、腹痛するもあれど、中の一なり、洩瀉数行の後、倏忽の間に、陽気虚脱し、毒気上攻す、
治法
三附といへど、回挽しがたきあり、早く用ふればよし、遅ければ激す、半夏黄連お組合せてよろしきことあり、
病家心得
腹鳴水瀉あれば、一行にても衣被お厚く覆ひ、炒塩にて腹中お熨し、重きは手足お温石などにて温め、熱粥お喫せしめ、微発熱微発汗すれば、気宇舒暢、瀉従て減じ、吐お発するに至らずして愈ゆ、若飲食動作、常の如きお以て軽視すれば、瞬息の間、悪症蜂起、上工も手お束ぬるに至る、
以上、山田昌栄の説也、