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松屋筆記
三十七
福来病
日本紀略天徳三年の条に、今年人民頸腫、世号福来病雲々、同長元二年十月の条に、自去月至今月、京中人病頸腫、世謂之福来病雲々、倭漢合運長元二年の段に、京人腫、世謂福来病雲々、按に、玉勝間三の巻に、頸のふくらかなるよりかくいひなせし成べしといへり、こは世にいふ腹ふくれの金持などいふやうに心得たる説にて、ひがこと也、福来はふくれの語にかり用し字にて、やがてふくれ病といふ事なり、福来病、ふくれやまひと訓べし、