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栄花物語
七とりべ野
かゝる程に、女院〈○詮子〉ものせさせ給ひて、なやましう覚しめしたり、〈○中略〉殿〈○道長〉いまはくすしにみせさせ給べきなり、いとおそろしきこと也と、度々聞えさせ給へど、くすしに見すばかりにては、いきてかひあるべきにあらずと、こゝろづよくの給はせて見せさせ給はず、御ありさまおくすしにかたりきかすれば、 すばく( ○○○) におはしますなりとて、其かたのれうぢどもおつかうまつれば、まさるやうにもおはしまさず、ひごろになりぬればにや、しるなどあえさせ給へれば、たれもこゝろのどかにおもほしみにてまつる、