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内科秘録

吐血 嘔血 咯血 吐紅 億血 痰血 内衄
吐血又 嘔血( ○○) とも雲ふ、歴吏には皆嘔血と書てあり、其因肺より出ると、胃より出るとの二証あり、第一に之お知るべし、 胃血( ○○) は卒に咽喉微痒、或は胸中微悶、又大便心お催し、更衣の途中にて暈倒し、血お吐くこと五六合、或は一升余に及び、一度にて止むこともあれども、再三吐くことあり、須臾にして発熱汗出て、脈浮弦になるなり、胃血にては多く出でヽも即死することなし、然れども亡血して血証の黄胖になり、面色萎黄、唇舌刮白、眩暈耳鳴、悸動短気等の諸証並起り、爪甲薄くなりて潤沢お失し、両脚の微腫するものなり、
肺血( ○○) は適億嗽お起し、胸中微悶して卒に血お吐くこと一升余に至り、虚里煽動して短気、鼻扇肩息、額上冷汗出、四肢厥冷した死す、或は吐血少ふして卒死お免るヽ者も、 後に必ず虚労お患ふ( ○○○○○○○○○) るものなり、