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頓医抄
三十四
癩病
夫癩病の由来、五癩、八風、或一百三十種の品有、或又先世の罪業によりて、仏神の冥罰有、或食物により、或は四大不調による、処詮善根お修し、懺悔お致して、善お修すべし、凡此病において、種々の不同有、偏体異なることなしといえども、眉髪已に落ち、又偏体損壊せずといへども、眉髪落るに随て、或は諸処異ならず、四肢腹背等 頑( ひる) む所あり、手足十脂随落し、疼頑事痛むことおしらず、其色青黄赤白黒の不同也、悪血虫と成て、食虫の大になるに随て広く厚く食む、皮肉強堅し、灸すれども不熱、針すれども痛からず、又身の上より底へ食し入、又底より上へ食出も有、又上に異相なしといえども、底へ食て能見へば普通のはぐえにあらず、譬へば栗梨子等の上は虫くはざれども、底お食へば上の色変ずるが如し、又遍身村雲立て 㦄陽( なまつはだ) に似たり、又処々白くなり、星の如く、又遍身黒てやうやく朽身、又やせて白赤日月の如し、白みわたりて後つヽしむ、又遍身小瘡出て、次第に大になる、常にかざほろし出て、常に丹瘡の如し、又寒重き処あり、又灸所いえず、諸の疵愈ず、又俄に焼跡の如し、澄水たり、又馬の目の如し、朽落して煎す、漸に増あり、又此病お受る人、眼白く成、鼻厚く大に成、爪落くだけて損ず、手足油なく、或は面かしけ乾き、又は或は肥たる松に似たり、眉の毛落、如此多種の不同有といえども、痛からず、五癩八風等種々の異体、併風血虫の所為也、その形本書等に委記す、可見之、