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古今著聞集
七術道
宇佐大宮司なにがしとかや、癩病おうけたる由聞えありて、一門の者ども改補せらるべきよし訴へ申ければ、大宮司はせのぼりて、医師にみせられて、実否おさだめらるべきよし奏し侍ければ、和気丹波のむねとあるともがらに御尋有けり、中原貞説もおなじく召に応じて御尋に預りけり、各 白らい( ○○○) といふ病のよしお奏しけり、療治すべきよしの勘文奉るべきよし、仰下されければ、めん〳〵に罷出てしるして参らすべき由申けるに、貞説申けるは、非重代の身にて一巻の文書のたくはへなし、知りて侍る程の事は、当座にて勘へ申べしとて、則しるし申けり、もろ〳〵の医書ども皆悉く引のせて、ゆゝしく注申たりければ、叡感有て、申うくるに随ひて和気の姓お給はせける、後には諸陵正に成て、子孫いまにたえず、