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叢桂亭医事小言

黄疸
古より五疸と称て五つに分つと雖、其方薬は必五法に非ず、五疸ともに兼て治す方多し、左すれば五疸に分るものは紙上の談なり、八疸或は三十六疸、其外種々の名称あり、今是お治するに緩急二つあり、急発のものは皆治しやすく、緩発は多く治しにくし、猶更年高の人は、半は鬼簿お免れず、緩発とは常に悪寒して臥床するに及ばぬ位に催すこと累日、小便微黄、日お経て漸濃くなる、さて小便黄になるは熱あるや、又は大黄にても用ゆれば黄になれども、沫は白く立もの也、此証の小便は、桶の内の沸沫共に黄に見ゆるもの也、甚しきは白紙お染むべし、此病察色にて知べし、〈○中略〉
黄胖卜雲もの、方書に黄疸に属してあり、食労疸のことともいへり、黄胖は俗語なりとぞ、今民間に多く、中人以上に希なる病にて、間には貴人にも必無と雲べからず、此黄胖は糞土の気に感じて病むと雲、 俘苦 ふく/○○病/○ 或 阿遠(あお/○○)の病(/○○) と呼、又 ぜいふく( ○○○○) とも呼、方言甚多し、是お脚気に属したる書も有、偶記に詳に論ぜり、読べし、爪甲 反( そ) りて薄く、或摧けて不長、或は片々にへげて枯衰するもの其光萌也、