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内科秘録

中風
中風( ○○) 、 癇証( ○○) は、古より判然として二病に分ちたれども、実は一病なるべし、少壮の時に発するときは、癇の諸証お見はし、老衰に及で発するときは、中風の諸候お発するなり、譬ば驚癇は一病なれども、長幼に因て其見証異同あれば、小児に在ては驚風と名づけ、大人に在ては癲癇と曰ふが如し、故に初め癇の諸証お発し、一旦差て後再発するときは、中風の諸証お備ふる者あり、或は初中風お患ひ、一旦差て後再発するときは、癇になる者なり、又按ずるに、 驚風( ○○) 、 癲癇( ○○) 、 発狂( ○○) 、 中風の四の者は蓋一病( ○○○○○○○○○○)なれども、長幼に従て不同、小児の癇お患ひて半身不遂するは即小児の中風なり、大人の卒中風は即大人の急驚風なり、古人中風、癇証お分て治法お立ると雖ども、証候相混淆し、薬方も亦大同小異のみ、今四病の一因なること、彰然として明なりと雖ども、従来の旧染なれば、遽に改ること能はず、且四病各異同ありて、治法も亦各証に従て同じからざれば、尚旧説に従て各門お分つのみ、