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叢桂亭医事小言

中風
兼て中風お催せし人は、常に能く睡る、狂お催す人は一切に睡ること不能、油断すべからず、中風の催しは半身不経して、肌に糊のつきて乾著したる様に覚ゆ、甚しきは麻木不仁す、麻と雲は、しびれること、木と雲は覚の無きこと、不仁と雲は、梶原性全の頓医抄に、人はだならずと訳せり、人何のわけもなくしびれるは中風か、又は脚気の催し也、又堺お立て痺れる、是お死肌と雲、癩病の漸也、血色お察すべし、虫のはふが如くにて掻ても知れず、又指の一二本屈むると、手おそへねば伸びず、痛も痒も無きは中風の漸也、又肉脱して細るは癩もあり、又脚気にも手指の拘攣することあり、混ずべからず、