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奇魂

病源論〈并病名考〉
漢様にのみなりて、古の病名詳ならねど、猶古書に求て、有ん限は、此の風によむべきわざ也、さて古と今と名同くて病異なると、漢名にのみ唱て、古名お失たると、古と今と多し少しとあり古今名同〱病異なるは、続紀〈天応元年〉に、詔曰、朕枕席不安、稍移晦朔雲々、詔曰雲々、加以 元来風病〈爾〉苦( ○○○○○○) 〈都々〉雲雲とみえ、後紀〈大同四年〉にも、天皇、自従去春、寝膳不安雲々、詔曰雲々、 朕躬元来( ○○○○) 、 風病〈爾〉苦( ○○○○) 〈都々〉雲々、栄華物語にも、なほこの殿は、 ちいさ〱より( ○○○○○○) 、 風おも〱おはします( ○○○○○○○○○) とて、かぜの療治どもおせさせ給、〈此外猶多し〉等有お考ふれば、状も定らず、常あつしくて、年普く固疾と成れるお雲にて、 今俗にいふ癇とみえたり( ○○○○○○○○○○○) 、今世にいふ風の病には非る也、