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老人雑話

黒田如水病重く、死前三十日許の間、諸臣お甚罵辱す、諸臣驚て雲、病気甚く、殊に 乱心の体( ○○○○)也、別に諫むべき人なしとて、其子筑前守に雲ふ、筑前守如水の心に通ぜず、近づひて密に雲ふは、諸臣畏れ憂ふ、少し完くしたまへと、如水耳およせよとて、小声に雲はれしは、是は女がため也、 乱心に非ず( ○○○○○) とぞ、諸臣にあかれて、早く筑前守殿の代になれかしと思はせん為なり、