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牛山活套

中湿
中湿の症二つ有、内の中湿、外の中湿也、外の中湿とは、多は山嵐の瘴気とて、山谷の間より煙の如くに蒸し立る気あたりたる症お雲、或は雨湿の時に族行し、雨湿蓑衣おとおし、遠路に水お渉り、或は久く湿地に坐し、或は湿鞋おはきて遠く行き、或は汗出て衣の裏に通りたるおぬきかゆれば、其汗冷て湿となりて此湿に感ず、或は新に家お造作して、其壁未乾に移りて、其湿に感ずるのるい也、其症頭重く目眩き、身体疼痛、手足酸軟麻木し、腰膝腫痛し、体重して如山、頭重して瓶お被るが如く、寒熱往来し、其脈多は濡緩也、内の中湿とは、生冷水菓湿麪厚味お過食し、醇酒過多なれば、湿内お傷り、其症或は外湿の候の如し、其湿脾に著て、三焦の気不運、小腸の疝気出て、偏墜して択丸腫痛して、手足面色浮腫し、目中黄み、小便赤黄、或は洩瀉する、其脈多は濡緩に渋小お兼、或は滑お帯也、