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瘍科秘録

体気
体気は又狐臭、胡気、腋気、腋臭、慍抵等の名あり、俗にわきがと雲ふ、身体に一種の悪気ありて、液下より発洩し、常に汗に化して潤ひ、鬱蒸して臭気お醸成するなり、故に夏月暑時の汗多き頃に甚しく、冬時厳寒に至て汗出ざれば、臭気も亦減ずるなり、少壮の者のみ患て、小児老人に絶て無し、考人小児は蒸気の発洩すること少く、少壮の者は蒸気の発洩すること多き故なるべし、敷薬にて一旦消すれども、数日にして再発し、根治することなし、老衰に至れば、必ず自ら愈るものなり、