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牛山方考

一男婦の 狐臭( ○○) に、黄芩、黄連、大黄お加て与之外、銅のすり屑〈銀工に多し〉に明礬の二味お細布に包み、腋下おする、此薬お袖にして頻にするべし、十日不経有奇効、効お得とも止むることなかれ、服薬半年、擦薬半年なる時は、多くは其病根お抜く也、或は病深者一旦清快するとも、一二年お経て後再発する者あり、又此方お用べし、其時は毎日自己の小便お以、腋下お洗ひ、後水にて洗てすり薬お用べし、いかほど根深き狐臭も半年服薬すり薬お用ゆれば、二三け年は不能発起、〈啓盆〉筑前に在し時に、一婦容貌美色、然といへども狐臭ありて不可近、婚姻三度、此病有に因て離別す、医禱無効、自ら廃人たることお知て、暗室に居て外に不出、父母悲之、予が治の奇なるお聞て治療お求む、内外此方お用ゆ、三け月にして清快し、半年の後、諸人其病の治したる事お聞て、争て求婚、其父母其病根の尽るや否お不審未許婚、容貌の美色有お以て、隣人頻に求て婚嫁し、和平にして楽て有子、可秘々々、