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花月草紙
さむきおきらふものは、寒さにさはらず、あつさいむものは、暑にあたらず、われこそすこやかにして遠ざと行くとも、つかるゝことなしといふものは、おほくあしに病お生ず、われは目のあきらかなるにや、はるかなるもの、かすかなるものといへども、のがすことなしといふものは、かならず目にやまひお生ず、けふはかしらいたみ、きのふはむねのあたりふたがりぬと、日ごとにいふものは、大なるやまひうることまれなり、わかきおりよりくすりのみしことなし、やまひはいさゝかもしらずといふものは、とみに大なるやまひおうるといへば、やむごとなきひときゝたまひて、げにもとてうなづきたまひしとか、