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栄花物語
十二/玉村菊
あるがなかのおとみや〈○具平親王女専子〉は、三条の入道一品宮〈○村上皇女資子内親王〉の御子にしたてまつらせ給ひし、十ばかりにやおはしますらん、こたみの斎宮にいさせ給ぬ、その御あつかひもたヾこの大将どの〈○藤原頼通〉よろづにせさせ給、式部卿宮、〈○敦康〉いとかひありてもてなし聞えさせ給けり、一宮にておはしましヽかば、御ありさまいとめでたきに、いまはいとヾ大将殿御うしろ見せさせ給へば、御符などいづれの国のつかさかはおろかにおもひ申さむと見えて、いとどしき御ありさまなるに、大宮〈○藤原彰子〉よりも、つねになに事につけても聞えさせ給、