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栄花物語
十六/本の雫
やう〳〵御法事の程もちかうなれば、院〈○小一条〉何事もおぼしいそがせ給、との〈○藤原顕光〉の御ふなども、かヽるおりだにもとめせど、たヾいま受領どもは、たヾ御堂〈○法成寺〉のことおさきとする程に、せう〳〵の所の御事おば、なにとも思ひたらねど、たヾ院おはしませば、それおよろづにたのみきこえ給て、われはちごのやうにてすぐさせ給ふも、いみじうあはれなり、